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ドローンとエレベーター点検


(公開 2021/02/03)

 1. サマリー

ドローン等最新技術を用いたエレベーター点検が非常に脚光を浴びつつある。人口減少の時代において建物管理業務の一貫として、事故率が高く危険な業務であるエレベータ点検が容易化されることが予想される為である。このような所謂建設テック的な進化は今後も進んでいくであろう。その中では技術的な有意性と業務理解の双方が重要になると考えられる。


 2. 目次


 3. コンテンツ

# 来たる建設テックの波

AIやドローン、5G等の華やかな言葉が並ぶ中で、所謂「●●テック」の先鞭をつけたのはフィンテックであった。その後「エネテック」や「不動産テック」等数多のバズワードが生まれたように思えるが、本当の意味で静かにそれを実現していたのは「建設テック」なのかもしれない。というのも、画像認識やセンサー、ドローンの利用による保守業務など、これらの技術との相性が特に良いためである。これらの事例はあまりに多く、こと土木工事分野においてドローンを用いて作成した写真から測量の高度化やAI技術を利用した高速道路におけるひび割れの点検等、いくらでも出てくることは請け合いである。その意味でこの分野は非常に大きな可能性を持っているといえよう。


# ドローンによるエレベーター点検

しかしながら、事例を見てみれば分かる通りこれらの事例は、大規模な土木事業等がおおく、手元の事例ではあまり見るべき事例もなかったように思われる。しかしながらここにきてドローンを用いたエレベーター設備点検の実験も始まり始めた。


エレベーターは全国様々あるビルについていることを考えれば非常にありふれた事業であるものの、事故防止の観点等から非常に重要な設備管理業務であることはいうまでもない。この分野にドローンを用いて人間が入りにくい部分の撮影を行う、もしくはレーダーによる探知を行うほか、当該画像や動画を画像認識させることで当該課題を人に頼らず確認することができれば、それは非常に大きな一歩であることは疑いようがなかろう。エレベーター点検に限った話ではないが、この分野は今後人手不足と相まって非常に大きな可能性を持っていることは疑いないと考えられる。


# 国はどのように見ているか

そう考えていた矢先、デジタル技術利用について国土交通省がどのようにこの分野を見ているかを考える面白い資料を見つけた。2020年2月4日付の「規制の精緻化に向けたデジタル技術の開発事業(建築分野)」と題された令和付属資料は一読の価値があると思われる。

ここではエレベーターロープにおけるドローン活用の可能性が議論されていると同時に、エレベーター事故の危険性や人口減の中での維持の難しさが示されている。


言われてみれば確かにそうであるが、マンションの増加にあわせてエレベーターは増えている一方で、検査員の登録者は年々人口減とともに減っている。そして、この傾向は今後も継続するであろう。その意味でもドローンなどの人の労働力を削減する技術を用いた点検の高度化は今後も進むはずだ。



参考:

「建設テック革命」、木村駿、日経コンストラクション編

https://www.kenken.go.jp/japanese/research/lecture/h30/pdf/T05_Miyauchi.pdf 建築研究所Webページ、2021/2/2アクセス



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