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消防設備業の開業に必要な道具と初期の仕事内容

更新日:2022年2月17日


消防設備業の開業に必要な道具と初期の仕事内容

(公開 2021/11/27)


 1. サマリー

新型コロナウイルスが蔓延する中にあってもさして仕事が減ることもなく、実は不況にも強い安定した仕事であるにも関わらず未経験でも難しくないと一部で言われている消防設備業界。

今回は、消防設備業の開業にあたって、①まずはどんな仕事から始めるべきか、②必要な道具にかかる費用はどれくらいか、③実際の仕事内容はどのようなものか、という点について解説していく。


 2. 目次


 3. コンテンツ

# 開業してどんな仕事をするべきか

消防設備士として仕事を始めるには、まずどんな仕事をするべきだろうか。結論としては、主要な消防設備の点検のみを受注するのがおすすめだ。具体的には、火災報知設備、避難器具、消火器など、点検が比較的簡単な物件を受注するとよい。これらの消火設備は比較的点検が容易で、設置されている建物が多いからだ。また、大きな建物の受注を受けるよりは、小規模な建物の依頼を受けるといいだろう。例えば、老人ホームやカラオケ店では消防設備の設備は義務化されており、小規模な施設であれば、開業初期でも大きな設備投資を必要としないので仕事を受けやすいだろう。

とはいえ、すでに消防設備業界で働いていて独立をしようという方は別として、一から起業をしようという方は何から始めれば良いのか分からないのではないだろうか。そのような方は同業者の点検の補佐から始めてはいかがだろうか。消防設備業界は人手不足であり、依頼によって必要な人員が増減するため、同業者から依頼をもらうことは難しくない。また、最近では、仕事のマッチングアプリなどを活用すれば上手く依頼を得ることができるだろう。

そのようにして同業者の補佐を続けるうちにスキルと信用を得ることができたら、そこから物件を丸々委託されたり、他業者に営業をかけたりと徐々に自分の扱う物件を増やしていき業務拡大を図るというのが一般的な消防設備業の起業パターンである。


# 開業に必要な道具と予算

開業に必要な道具と予算

上記表は、消火器、自動火災報知設備、避難器具の点検を行う上で最低限必要な道具を挙げた。業界内のいわゆる「火報屋」と呼ばれる電気周りの点検に特化した業者を目指すセットである。御存知のとおり自動火災報知設備は非常に多くの建物に設置されており、未経験者が消防設備の仕事をするならば、外すことはできない自動火災報知設備の点検について必要な道具であるここに挙げた物を合わせると、金額としては20万円〜30万円程になる。加煙試験器・加熱試験器・延長棒については、感知器の点検者1人につき1本ずつ必要になることに注意しよう。消火器や避難設備については、点検だけならばそれほど特別な道具は必要がない。また、ドライバーなどの一般的工具や照明器具(ヘッドライト)なども用意が必要である。これらを考慮すると、火災報知設備や消火器等の点検業務を受注するためには、一般的な工具や制服などを除けば、約30万円ほどで点検道具一式を揃えることができるようになる。


では、実際にどのように仕事をするのかを見ていこう。まず、消火器と避難器具については、外観の点検が主な点検項目となる。これは点検項目が分かっていれば特に道具を使う必要はない。ただし、ボルトや蓋などの緩みを締め直したり、汚れている場合は清掃したりなど、分解しない程度の整備は行うことがあるので、工具や清掃道具は用意しておこう。

火災報知設備の仕組みを解説すると、天井に取り付けてある感知器で火災を感知し、受信機に伝え、ベルや放送設備を通じて館内に知らせるという構造になっている。取り付けられている感知器の多くは手のひらサイズの丸型(スポット型)の、煙感知器または熱感知器である。点検では、これらの感知器に、煙または熱を近づけ、火災が起きた時に似た状態を作り出した際に火災を感知し、受信機に伝えることができるかを確認する。この際使用されるのが加煙試験器(下図1)や加熱試験器(下図2)である。試験器についている棒で天井の感知器まで試験器を届かせる。そして試験器で感知器を覆い、煙もしくは熱を加える。高い天井に設置された感知器の点検の際には延長棒や脚立を使用する。

  

加熱試験器

図1 加熱試験器


加熱試験器

図2加煙試験器

(ニッタン株式会社 HPより引用 [下記参考])


次は実際の点検作業の流れを見ていこう。まず消防設備の点検では、感知器を作動させる作業員と、受信機で感知器が作動したのを確認する作業員に分かれて作業を行う。前者は建物内の各所で感知器を作動させる。後者は感知器が作動したら、正常に作動したことを前者に伝える。これを繰り返し、正常に感知器が動くかどうかを点検する。また、感知器の点検のために移動する際、建物の各所を回ることになるのだが、その際訪れた場所に設置されている消火器や避難器具といった設備の点検も同時に行う。このように、消防設備の点検では、2人で1チームになって作業を行うことになるのが一般的だ。また、大きな建物では移動や消火器の点検などに時間がかかるため、建物内を回る側が2人以上になることもある。この人員を確保するために補助として他社の作業員や個人事業主が使われることがある。

ここまで見てきたように、消火器・避難器具・感知器などの点検作業は点検資格が必要とはいえ比較的簡単であり、軽作業であるため初心者でも行うことができると言われている。


消防設備業は、比較的開業がしやすい業界だと言われている。現在開業している消防設備士の中には、知識ゼロから始めて数年で20人程の従業員を雇える会社になった方もいる。人命を扱う設備であるため軽々しく仕事をするわけにはいかないが、軽作業が多く、取っ掛かりはそれほど難しくない業務も多いため、何か新しいことを始めたいという方は、一度消防設備業界入門を検討してみてはいかがだろうか。

<ポイント>

・開業初期は点検をメインに行う。

・最低限度の道具だけなら30万円ほどで揃う。

・軽作業が多く初心者でも始めやすい。


#参考

総務省消防庁 HPより

ニッタン株式会社 HPより



関連:

コンテンツ「自動火災報知設備概要」


コンテンツ「消火器概要」


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