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社会保障制度改革推進会議(令和3年度)サマリー

更新日:2022年2月17日


介護問題

(公開 2021/11/25)

 1. サマリー

第10回社会保障制度改革推進会議の疑似内容、および関連論点についての考察をまとめる。主な議題は全世代型社会保障改革で、今後改革を推進するための対策等について話し合われた。それに関連して、保険者努力支援制度、介護インセンティブ交付金、地域医療構想について特に確認する。


 2. 目次


 3. コンテンツ


# 全世代型社会保障改革

令和3年度6月29日に開催された、第10回社会保障制度改革推進会議について、その内容をまとめる第10回社会保障制度改革推進会議においては、「全世代型社会保障改革」が主な議題の一つとなった。

  1. 全世代型社会保障改革とは 少子高齢化と同時にライフスタイルが多様となる中で、全ての世 代が安心できる「全世代型社会保障制度」を目指して、働き方の変化を中心に据えながら、 社会保障全般にわたる改革を目指す。

  2. 全世代型社会保障会議 「全世代型社会保障制度」の実現のために設置された会議。内閣総理大臣を議長とし、関係閣僚及び有識者を構成員とする。

  3. 全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律 令和3年度の通常国会にて提出された。その中で検討条項が付されていて、「社会保障制度の改革及び少子化に対処するための施策について、その実施状況の検証を行うとともに、総合的な検討に着手し、その検討の結果に基づいて速やかに法 制の整備その他の必要な措置を講ずる」とされた。

  4. 骨太の方針 今年6月に閣議決定された骨太の方針では、「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築する観点から、給付と負担のバランスや現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ、保険料賦課限度額の引上げなど能力に応じた負担の在り方なども含め、医療、介護、年金、少子化対策を始めとする社会保障全般の総合的な検討を進める。こうした対応について速やかに着手する」と言及された。

  5. 閣議決定のポイント(医療について) 医療法の改正が成立し、新興感染症等の感染拡大時期における医療提供体制の確保を医療計画に位置づけることとした。 さらに、地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組の支援ということで、令和2年度限りとして措置された病床機能再編支援事業を法定化して、令和3年度以降も実施することとした。

  6. 全世代型社会保障改革の方針のポイント 後期高齢者について、所得上位30%、年収で200万円以上の者を念頭に、医療費の窓口負担を2割とするという見直しを行い、通常国会で成立した。

# 伊藤委員の意見

改革については、中身はもちろんだがそのスピードが重要である。社会保障改革というのは基本的に急速に進む高齢化とのス ピード競争のような関係にある。そのスピード競争に対応するために改革そのものを迅速に進める必要がある。

# 遠藤委員の意見

全世代型社会保障改革が必要な理由は主に二つである。

  1. そもそも我が国の社会保障制度の対象が高齢者に偏っているため。 経済成長が鈍化する中で、現役世代にも様々な社会的なサポートが必要になってきている。

  2. 高齢化によって増加する現役世代の負担を減少させていかなければならないため。 言うまでもなく、社会保険料は所得に応じて徴収されるため、現役世代の負担が多い。世代間の負担の公平性の観点から、今回の後期高齢者の医療の自己負担の引上げのような施策が求められる。

# 考察

以上のような会議の内容、特に全世代型社会保障改革を踏まえて、今後特に介護分野において検討すべき論点について触れておきたい。

  1. 保険者努力支援制度 保険者努力支援制度とは、保険者(都道府県と市町村)の予防・健康づくり等への取り組み状況を評価し保険者に交付金を交付する、という制度である。全世代型社会保障改革においてはこの保険者努力支援制度の抜本強化が掲げられており、本制度は平成30年度より本格実施されている。 今後も本制度が推進・実施される中で、介護部門のサービス提供者が本制度に関わる機会も増加することが予想される。実際、厚生労働省は保健福祉分野において成果連動型民間委託契約方式(参照:「厚生労働省における成果連動型民間委託契約の取組み」https://www8.cao.go.jp/pfs/seminar/kourou20210318.pdf)を用いてモデル事業を実施していて、それを地方公共団体にも広めようと試みている。 今後、本制度の下で特に実際に事業者にどのような影響があるか、介護事業者も注目する必要がある。

  2. 介護インセンティブ交付金 全世代型社会保障改革にて推進された介護インセンティブ交付金は、保険者や都道府県の介護予防等への取り組み状況について評価を加え、保険者や都道府県に交付金を交付する仕組みである。本制度の下では、以下が評価の対象となる。

  • PDCAサイクルの活用による保険者機能の強化

  • ケアマネジメントの質の向上

  • 多職種連携による地域ケア会議の活性化

  • 介護予防の推進

  • 介護給付適正化事業の推進

  • 要介護状態の維持・改善の度合い

特に今後は、介護需要が急増する中その受け皿が不足しているという状況の中で、「介護予防」の重要性が増加することが予想される。介護事業者側にも本制度が重視する対策が求められるのは必然のため、動向を注視する必要がある。

  1. 地域医療構想

地域医療構想とは、将来人口推計をもとに2025年に必要となる病床数を推計した上で、地域の医療関係者の協議を通じて病床の機能分化と連携を進め、効率的な医療提供体制を実現する取組みのことである。本構想の下、地域差を伴う高齢化による需要増大と支え手減少に対応し、質の向上と効率改善を図り、地域で必要な医療を確保するとされている。本構想は、医療・介護提供体制と地域ケアシステムを包括的に構築することを目標としている。 本構想の下で、介護事業者に何が求められるかを今後注視する必要がある。


参考:

・第10回社会保障制度改革推進会議 議事録 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/dai10/gijiroku10.pdf ・第10回社会保障制度改革推進会議 資料1 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/dai10/shiryou1.pdf

・厚生労働省「地域医療構想について」



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