セキュリティ業界で用いられるドローン技術

 

セキュリティ業界で用いられるドローン技術

 (公開 2022/05/21)

 1. サマリー

ドローン技術は現在さまざまな分野で取り入れられつつある。今回は、セキュリティ業界において現在使用されているドローンについて、および、ドローンが実際の現場でどのように使われているかについて解説する。また、この業界におけるドローン技術が今後どのように変わっていくかを考察する。



 2. 目次

# はじめに

# どのような製品があるのか

# どんなことができるのか

# 今後の展望

# まとめ



 # はじめに

昨今、セキュリティ業界では2つの大きな問題を抱えている。それは労働人口の減少による人手不足と、働き方改革などの労働環境の改善の動きである。もともとセキュリティ業界は、労働環境が良いとは言えない業界であった。寒い日や暑い日でも室外で業務をしなければならなかったり、夜間や悪天候であっても警戒業務を止めることができなかったりするためである。このためこの業界は万年、人材確保に苦心している。そして近年の労働環境改善の動きと、労働人口の減少が重なり、さらに人材確保が厳しくなるという状態になっている。この問題を解決するために注目が集まっているのがドローンによる警備・監視である。今まで人が行っていた監視や見回りをドローンが行うことにより、人員を削減することができる。また、人が行うには危険な猛暑などの悪天候や高所などの危険個所もドローンならば安全に行うことができ、労働環境を改善することもできる。では、そのドローンでのセキュリティとはどういったものなのかを解説していく。


# どのような製品があるのか。

現在、業界の大手三社であるセコム株式会社、綜合警備保障株式会社(ALSOK)、セントラル警備保障株式会社(CSP)は、それぞれドローンを使ってのサービスを開始している。ここではセコムのドローンである「セコムドローン」を例にあげて解説していく。

セコムドローン

図1 セコムドローン


セコムドローンは、幅57cm×奥行き57cmの人が抱えられるほどの大きさである。よって、人が普通に歩行できる程の幅があれば、物理的には通れることになる。また、飛行速度は時速10kmとなっているので、大体、軽くジョギングをしたくらいの速度で飛行することができる。専用のポートから自立飛行を開始し、終了後自動で帰還し充電を行う。2015年の報道資料では、サービスの価格は月額5000円(税別)から、工事費などは80万円(税別)からとなっている。(*1)

(参考)セコムドローンの公開スペック

・サイズ…幅570mm(対角685mm)×奥行570mm×高さ225mm

・重さ…2.2kg(バッテリーを含む)

・飛行速度…時速10km

・飛行高度…不審者・不審車両追跡時 3~5m

(*1)2015年12月のセコム株式会社の報道資料

https://www.secom.co.jp/corporate/release/2015/nr_20151210.htm



# どんなことができるのか

では、セキュリティ業界においてドローンはどのように利用されているのだろうか。今回は先に紹介したセコムドローンを例にして、そのサービス内容を紹介する。



○巡回監視サービス

通常、施設の警備を契約すると、犯罪や事故の発生を未然に防ぐ、もしくは初期に対応するため、警備員が施設内外を見廻りするという業務を行うことが多い。これを巡回という。各社が行う

ムドローンはあらかじめ設定したルートを定期的に巡回することができる。そして、搭載されているカメラによって、警備室などの離れた場所で監視を行うことが可能である。また、ドローンは人が巡回するのが難しい場所でも巡回可能であり、雨天や夜間でも使用可能となっている。さらに、当日の気象状況やGPSの状況を判断し、安全に飛行できないと判断した場合は巡回を中止するという選択を自動で行うことができる。


巡回監視サービス


○侵入監視サービス

セコムドローンは定期的な巡回だけでなく、不審者や不審車両の進入時にも活躍する。侵入を感知すると、セコムドローンは対象の車や人に上空から接近する。車のナンバーや車種、ボディカラー、人の顔や身なりなどを撮影し、コントロールルームに画像を送信する。人手を使って現場の確認に行く場合は侵入者や危険個所による受傷に気を付けることが最も大切であるが、ドローンによって確認を行うことができれば受傷の心配はない。さらに、リアルタイムに画像を送信することができるので、侵入や犯行の確実な証拠を押さえることができる。また、固定された監視カメラでは死角があったり遠くや暗がりの画像が不鮮明だったりといった弱点があったが、ドローンが接近して撮影することでこれらの弱点をカバーすることができる。



セコムドローンのカメラ映像をコントロールルームで確認できる

図2 セコムドローンのカメラ映像をコントロールルームで確認できる


人では監視が難しい高度からの監視映像

図3 人では監視が難しい高度からの監視映像



# 今後の展望


ドローンによるセキュリティは一部の大規模店舗や工場などの大型施設での運用にとどまっており、一般の施設では人手による警戒がされているのが現状である。しかし冒頭でも述べたように、今後は人手不足と労働環境改善のためにドローンが積極的に導入されていくことが予想される。また、ドローン技術もさらに進化を遂げていくだろう。業界大手のALSOCKは、今後の施設警備は離れた拠点から複数の施設を直接ドローンで警戒することができるようになると予想している。これによって、当該施設には人員を置くことなく警戒を行い、異常が発生したときのみ拠点から人員を派遣することができるようになる。



ALSOK HPより ALSOKが目指す将来像

図4 ALSOK HPより ALSOKが目指す将来像



# まとめ


セキュリティ業界における人手不足の解消と労働環境改善のために、今後ドローンは積極的に取り入れられることが予想される。現在はドローンによる巡回監視や侵入者監視のサービスが行われている。また、ドローンを使用することで人ではできなかった危険箇所での監視や、リアルタイムでの監視もできるようになる。今後は人員を施設に配置することなくドローンなどのロボットがメインとなって監視をする時代が来ると予想されるだろう。

ドローンを含むロボットやAIは今後一気に数を増やしていくだろう。そのような革新は、セキュリティ業界だけでなく、接客業、介護や看護業界、運輸業界などさまざまな分野で起きると思われる。世の中の動きに遅れないためにも、これらの技術について引き続き注目していきたい。



# 参考

画像引用

(図1、図2、図3)

https://www.secom.co.jp/corporate/release/2017/nr_20180301.html


(図4)

https://www.alsok.co.jp/company/news/news_details.htm?alpc_news.news_detail_rev2=4647


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