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中小企業向けの省エネ補助金の概要


脱炭素
脱炭素

(公開 2022/12/12)

 1. サマリー

脱炭素社会の実現にむけて、省エネによるエネルギー利用効率の向上はすぐにでも行うべき施策である。しかし、資金面で大企業などと比較するとどうしても不利になってしまう中小企業に省エネ設備の導入を促進するための補助金制度を創設される。

2022年11月に発表された資源エネルギー庁の「今後のエネルギー政策」より、中小企業向けの省エネ補助金制度の概要を取り上げる。


 2. 目次

 3. コンテンツ

# エネルギーコストの世界的な高騰による省エネの必要性

省エネ施策というとCO2排出に伴う地球温暖化対策のイメージが強いかもしれない。しかし、東南アジアや中国、アフリカなどの経済発展に伴い、石油や石炭などの化石燃料や天然ガスなどのエネルギー資源の世界的な利用量が増大傾向にある。さらに近年ロシアからのエネルギー資源の供給が滞る形でエネルギー価格が高騰している。

このため、脱炭素社会の実現が主な目的だった省エネ施策がエネルギーコストの高騰対策の側面も出てきたことが特筆すべき点と言える。

今までは省エネを行うことが社会的なアピールのみといっても過言ではなかったが、エネルギーコストの高騰により、より現実的な省エネ対策を行い、中小企業の経営の安定化を図る必要が出てきたということができる。


# 従来よりも柔軟で使いやすくなった省エネ補助金制度

省エネ補助金は従来の省エネ施策の中でも制度として存在していた。しかし、制度的に補助金は単年度支給となり、複数年にかけて行う省エネ施策を計画した場合、次年度の申請から承認までの補助金空白期間が生じていた。

このため、体力の少ない中小企業では、電気炉の改修など大規模な省エネ施策を行うことができなかったが、今回の制度改正で複数年度にわけて補助金を支給できる体制となる。この補助金制度は中小企業だけでなく大企業でも利用することができ、先進的な省エネ設備の導入に上限で15億円の補助金が利用可能だ。

また、主に中小企業向けにどのような省エネ機器があるのかわからないという場合のために、政府が指定する省エネ対象設備リストの中から導入を検討した設備を選択して上限1億円の補助金を利用するという方式の補助金制度も加わる。

従来の省エネ補助金制度よりもより柔軟な対応ができるようになり、リストから選択するなどわかりやすい補助金利用を行える制度に変わるといえる。


# 省エネ診断を利用できる体制づくり

昨今のエネルギーコストの高騰を受けて、工場などの設備を点検して省エネ施策が必要かどうかを診断する「省エネ診断」の申し込みが急増している。

こうした需要に対応ができるよう、省エネ診断員の育成を行い、省エネ診断が手軽に行える体制を整えることを目指す。省エネ診断を行ったうえで、中小企業向けに省エネ補助金の利用を促進できるよう省エネ診断をきっかけに省エネ施策が行えるような状況を作り出すことを目的としている。

省エネ診断員の育成は、省エネ診断を専門に行うESCO事業者をはじめ、電力会社や空調機器メーカー、電気保安関連事業者など省エネ診断を能力的に行える土壌のある事業者を対象に行う。

また、大企業の工場に勤務しているエネルギー管理士などの省エネ診断を行える人材を取引先の中小企業に派遣して省エネ診断を行ってもらうなど、民間企業の力の活用も検討されている。


# ものづくり補助金「グリーン枠」の創設

従来のものづくり補助金は生産性の向上やDX化支援などの業務効率化を目指すものであったが、新たに「グリーン枠」補助金が創設される。

これは、温室効果ガスの削減に革新的な製品の生産や製造プロセスの改良を行った場合、環境負荷が削減されることで支給される補助金である。

通常のものづくり補助金に上乗せするような形での支給が検討されている。

まだ創設されたばかりのものであるため、具体的な補助金支給条件などは今後の閣議決定などで詳細が決められる。


# まとめ

今まではエネルギー価格が安価だったため、無理してまで省エネ施策を行う必要がなかったというのが実情だ。特に資金面で余分な投資ができない中小企業などは、省エネ施策はどうしても後回しとなってしまっていた。

しかし、近年のエネルギー価格の高騰は、省エネ施策のための経営判断を後押ししているといってもよい。政府としてもエネルギー価格の高騰によってより脱炭素社会の実現に近づきたいと考えているということが見える。中小企業向けの省エネ関連の補助金制度の改正が大きなものといえるが、省エネ診断の件数増加も、省エネ事業者にとっては大きなビジネスチャンスともいえる。


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