住宅用火災警報器と火災報知設備の違い

更新日:2月17日


(公開:2021年12月22日)

1.サマリー

皆さんのご家庭は住宅用火災警報器の設置はお済みだろうか。自動火災報知設備と混同されることが多い住宅用火災警報器だが、この2つは似て非なるものである。ここでは、住宅用火災警報器と自動火災報知設備の違いについて解説する。

2.目次

# はじめに

# 自動火災報知設備の仕組み

# 住宅用火災警報器の仕組み

# 主要な違い

# まとめ

3.コンテンツ

# はじめに

住宅用火災警報器と自動火災報知設備はともに、火災を感知し警報を鳴らすことが主な目的である。しかし、設置されている場所はそれぞれ異なっている。まずはそれぞれがどのような場所に設置されているかを説明する。

住宅用火災警報器(以下「住警器」)は、住宅として使われる建物に設置が義務付けられている。(※1)例えば、戸建の住宅や、賃貸住宅などである。設置する箇所は市町村条例によって一部異なる部分があるが、寝室および階段への設置は必須となっている。

自動火災報知設備(以下「自火報」)は建物の用途ごとに一定の規模以上の建物で設置が義務づけられている。例えば、学校では延べ面積(各階を合わせた合計面積)が500㎡以上の建物に設置が義務付けられており、カラオケ店にはすべての物件に設置が義務づけられている。また、建物の内部の使われ方によって設置が義務付けられているものもある。ガソリンなどの危険物を一定以上保管している貯蔵庫などがこれに当たる。

以上をざっくりとまとめると、住警器は個人宅につけられるものであり、対して自火報は火災が起きた際に被害が大きくなる可能性がある施設に設置されていると言えるだろう。

(※1)消防法第9条の2では「住宅の用に供される防火対象物(中略)の関係者は、(中略)住宅用防災機器を設置し、および維持しなければならない。」と規定されている。2006年1月以降、消防法により全ての新築住宅に設置が義務化された。また、2011年以降は市町村条例により全ての既存の住宅に設置が義務化された。ただし、自火報や散水装置が設置されている箇所については設置が免除されるなど、一定の要件を満たせば免除される。


# 自動火災報知設備の仕組み

次は、自火報の仕組みについて解説する。自火報には外すことのできない部分がある。①感知器②受信機③音響装置の3つである。


図1自動火災報知設備の概略図(※2) 

まず、①の感知器で熱・煙・炎のいずれかを感知する。これが電気信号として②の受信機に伝えられると、受信機では、火災を感知した場所を表示するとともに、火災が発生したことを他の機器に伝える。③の音響装置に信号が伝わると建物内にベルなどの音で警報を鳴らす。以上の3つの部分によって、火災の発生を施設内の人に伝えるという仕組みになっている。


感知器や音響装置は複数設置することができる。例えば、大きな施設においては感知器がいくつもあるが、1つの受信機によって集中管理されている。また、施設内のある地点で発生した火災を、施設内の離れた場所において知ることができる。


(※2)Wikipedia より引用https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%8B%95%E7%81%AB%E7%81%BD%E5%A0%B1%E7%9F%A5%E8%A8%AD%E5%82%99#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Fire_alarm_system_diagram.PNG)


# 住宅用火災警報器の仕組み

次に、住警器のしくみについて解説する。住警器は、天井や壁の高い部分に設置されている器具である。煙(もしくは熱)を感知すると、この器具自体で警報音を発する。つまり、自火報でいうところの感知器と音響装置を組み合わせたものとなっている。

住警器には、単独型と連動型がある。単独型は火災を感知した住警器だけが警報を発する。それに対して、連動型は連動設定を行っている全ての住警器が警報を発する。



図2 連動型のイメージ(※3)

(※3)総務省消防庁 HPより引用

https://www.fdma.go.jp/relocation/html/life/yobou_contents/qa/


# 主要な違い

では、自火報と住警器の違いについて確認していこう。まず1つ目は設置されている場所が違うことである。住警器が住宅用として作られているのに対して、自火報は様々な施設に対応した警報設備である。


2つ目にその仕組みである。住警器はそれ単体で動作するのに対して、自火報は感知器、受信機、警報装置の最低でも3つが揃っている必要がある。また、自火報は大規模な火災になることを想定されているため、求められるスペックが高い。ゆえに、自火報の方が圧倒的に設備コストが高い。


3つ目は設置についてである。住警器は誰でも取り付けが可能となっている。それに対して、自火報は、消防設備と電気工事の両方の有資格者でなければ設置することができない。


4つ目に、罰則規定があるかどうかである。2021年現在において住警器は取り付けは義務化されているが、従わなかったことによる罰則は規定されていない。対して、自火報は設置について届出をする義務がある。また、定期的に点検を行い報告をしなければならない。さらに、消防署による抜き打ちでの立入検査も行われており、設備義務に違反している場合は行政指導の対象となる。悪質な場合は罰則もある。


5つ目に、他の設備と連動できるかである。住警器はそれら単独で機能する性質上、他の消火設備等と連動することはできない。(※4)対して自火報は様々な消火・防火・避難設備と連動させることができる。例えば、火災を感知した際に自動でスプリンクラーを作動させたり、防火扉を閉めたりということができる。


(※4)光や臭いなどで警報を発する装置をつける等の設備を連動することができるものはある。

表1 住警器と自火報の比較



# まとめ

以上が住警器と自火報の違いである。住警器はコストが低い反面、あくまで住民が家の中にいてすぐに対応できるということを想定して作られている。対して、自火報はコストは高いが安全性も高い。また、他の設備と連動することによって機能を追加していくこともできる。


AIやIoTの時代と言われる昨今において、住警器や自火報はさらに進歩していくと言われている。例えば、住警器や自火報が感知した火災の発生をスマートフォンに通知し、離れた場所にいてもで知ることができるようになった。また、自火報については、毎年さまざまな機能を備えた消防設備が開発されている。


使用している物件が出火元となってしまったら個人や一企業の問題で済まなくなる。多くの人命や財産が失われる危険があるだろう。住警器や自火報は、火災による被害を少なくすることができる。安全な生活を守るためにも、今一度、防火設備の設置と整備の検討をしてはいかがだろうか。



0件のコメント