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冬の火災対策のポイント


冬 火災
火災

(公開 2023/02/20)

 1.サマリー

冬から春の初めは特に火災が発生しやすいといわれている。

季節的に増える火災の種類に注目し、また出火原因を突止め、その予防対策を解説する。

また本稿では、ビル管理者が行うべき日頃の定期点検、季節ならではの防災ポイント、通電火災を予防する感電ブレーカーアダプターなども併せてご紹介する。


 2.目次


 3.コンテンツ

# はじめに

大きな火災が発生すれば、我々の命が危険にさらされる。その他、経済的な打撃が大きくなるうえに、物損と共に様々な想い出までも失われ、心身にも大きな犠牲を伴うことが予想される。

さらに火災によって、生活の再建が困難になることも考えられる。

恐ろしい火災を未然に防ぐには、火災の原因と火災予防の対策ポイントを抑えることが重要である。


# 季節的に増える火災

冬場には、火の災害が増える条件が重なり、火災がしばしば発生しやすくなるといえる。

冬に火災が起きやすい要因として、まず空気が乾燥していることや、他の季節に比べ、暖房機器をはじめ火気を使用する頻度が増えることなどが考えられる。

冬は結露が起きやすく、結露の水分を通じてコンセント等電気回線のショート(短絡)にも注意が必要である。

また、雪害や風水害、大きな地震が発生すると停電になり、その停電が復旧する際、冬は当然多くの暖房設備を使用しているため、それが要因の火災の発生にも気をつけなければならない。この火災を通電火災と呼ぶ。



図1 地震による通電火災の例

通電火災は自然災害によって、発電所の設備などに被害が起きて停電が発生する。そのあとに停電が復旧し電気が使用できるようになったときに、電気を使用する電気設備や配線コードに電気が流れることで起きる火災である。

例えば阪神淡路大震災では、建物火災の約6割が通電火災によるものと特定されている。

通電火災の要因になりうる電気を利用した機器として、タコ足配線を使用した電気機器などが挙げられる。


# 冬と春の意外な火災発生件数

冬は、一年を通じて火災が最も起きやすい季節と思われがちだが、実は春の方がわずかながら火災が多く発生している。

消防庁の資料によると、2018年度の総火災発生件数は、年間で3万7,981件(月平均3,165件)である。


・冬の季節の3カ月間(12月~2月)は、1万399件(27.4%、月平均3,466件)

・春の季節の3カ月間(3月~5月)は、1万1,022件(29.0%、月平均3,674件)

・単月でも、冬の季節の3カ月間ではなく、3月が4,198件(11.1%)と最多である。


春に火災発生件数が増加する原因は下記と考えられる。

春とはいえ寒い日もあるため、暖房機器はまだ手放せない。空気の乾燥がまだ続いており、更に春は、偏西風に乗ってユーラシア大陸から黄砂と共に乾燥した強い風が吹き込んでくる。強い風は燃焼の3要素の一つである酸素の供給量を増やしてしまう。使用が継続される暖房器具(燃焼の3要素の一つである点火源)、乾燥が続く空気、これらによって発生した火災が強い風(酸素の供給)の影響で延焼の原因となり、春の火災の発生件数が増加する。



図2 燃焼の3要素

# 防災設備の定期点検

季節問わず、消防設備点検、防火対象物点検などの法定点検は、法律で定められた義務であり、定期的に行わなければいけない。

電気設備の事故を未然に防ぐために、定期的な補修や点検は欠かせない。


# ビル管理者が行うべき冬の火災対策のポイント

日本では電気暖房器具などに過熱防止装置が付いているなど防災への備えがなされている。しかし、器具の誤使用による出火で火災につながる可能性もあり、使用上十分な注意が必要である。以下は電気暖房器具の使用上の注意点である。


①購入時は、給油時に灯油とガソリンを間違えないことはもちろん、石油ストーブへの給油時はスイッチを切った状態で行い、給油タンクから灯油が零れたり溢れたりしないようにする。

②石油ストーブを使用開始前に故障のないことを確認・点検し、かつ古い灯油が入っていた場合はその灯油は不用として捨てる。

③暖房器具やガスコンロなどに衣類、紙類などが触れないように気を付ける。

④長時間使用中の暖房器具や調理しているときのガスコンロのそばを離れるときは電源を切る。

⑤火の気のある場所で、可燃性の化粧品、着色・つや出し・さび止め等の塗料、殺虫剤、接着剤などは使用しない。


通電火災の対策としては、「感電ブレーカーアダプター」という機器がある。震度5強以上の地震を感知すると自動的にブレーカーがオフに切り替わって電源が遮断される安全対策の機器である。

このブレーカーアダプターはスプリング式で取付けの工事が不要のため、ほぼどの分電盤にも使用できる。

地震発生時の思わぬ事態に、感電ブレーカーアダプターのスイッチが自動的にオフになるため通電火災に発展する可能性が軽減できる。



図3 感電ブレーカーアダプター

また規模が大きいビルなどでは、いくら簡易とはいえ、多くのブレーカーのスイッチをオフにすることは困難なので同装置はとても利便性が高い。

トラッキング現象(コンセントの埃等が乾燥や結露を原因として出火)による火災の対策も必要となる。冬は当該現象が発生する危険が高まるため特に用心しなければならない。

近年は様々な道具が電気機器に代替されていて、コンセントに多数の機器が接続されているため一層の注意が必要である。

冬の季節は、他の季節よりも結露が起きやすい。発火して火災に至る可能性を考慮し、トラッキング対策として、埃を取るなどマメに点検することをお勧めしたい。


# まとめ

火災は予防策を講じても100%防ぐことは難しい。

平時から防災設備の定期的な点検を忘れず行い、火災による災害から身を守るための防災対策が必須となる。

建物を管理するうえで、身のまわりの火事の原因となりうる点火源(暖房器具やコンセント等)の点検を怠らず、地震後に起きやすい再通電が要因の通電火災の被害を防ぐ「感電ブレーカーアダプター」の設置を検討するなど具体的に対策することが重要なポイントである。


参考

・電気火災のおそれとその対策

・共済保険ガイド

・総務省「平成30年(1~12月)における火災の状況(確定値)」


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コンテンツ「電気設備の法定点検にはどのようなものがあるのか」




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