東京都が戸建て住居にソーラーパネル設置義務化を検討


東京都が戸建て住居にソーラーパネル設置義務化を検討

 (公開 2022/05/18)


1. サマリー


2021年9月、東京都の小池知事は都議会定例会での所信表明演説の中で、都内に新築される戸建て住宅への太陽光発電設備の設置義務化を検討していることを明らかにした。

新築住宅への太陽光発電設備の設置義務化が与える影響について解説する。


2. 目次


# 政府方針でも2030年までに導入6割

# 東京都の新築戸建て設置義務化のインパクト

# 他の建築物への新築時の影響

# 太陽光発電設備流通量増大による価格競争

# まとめ


3. コンテンツ


# 政府方針でも2030年までに導入6割

小池知事の所信表明演説の前に、2019年の8月に国土交通省、経済産業省、環境省で行われた「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」という有識者会議の中で、2030年までに新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備が導入されている状態を目指すというものがあった。

この有識者会議の中では、将来的には新築住宅への太陽光発電設備の設置義務化も選択肢の一つとして検討するとあった。

小池知事の演説はこの内容を受けたものと考えられる。

東京都の設置義務化検討は、東京都独自のものということではなく、政府方針を意識した脱炭素社会に向けた対策ということが言える。

東京都以外の地域でも、建築物に設置に関する検討を行うよう義務化を行うといった条例を制定している自治体もあり、建物新築時の太陽光発電設備の設置は、全国的な流れと言える。



# 東京都の新築戸建てへの太陽光発電設備設置義務化のインパクト


では、今回の本題でもある東京都の新築戸建住宅への太陽光発電設備への設置義務化が行われた場合のインパクトはどの程度のものだろうか。

東京都の住宅需要は高いものの、特に23区での新築住宅はマンション需要が大きく、戸建て住宅数は地方のほうが大きい。

今回、小池知事は新築戸建て住宅に関して言及しており、マンション新築時の太陽光発電設備の設置義務化に関しての扱いは不明瞭である。

しかし、他の地方自治体は、検討の義務化等設置に強制力のない条例を制定しているのに対して、東京都が初めて地方自治体で設置義務について議論を始めたということが大きい。

東京都の新築戸建て件数自体は、他の地方と比較すると多くはないが、首都ということもあり、さらに政府の方針もあるため、他の自治体が追従する動きを見せるということも十分考えられる。



# 他の建築物への新築時の影響


今回、太陽光発電設備の設置義務が議論されたのが、新築戸建て住宅のみではあるが、今後、脱炭素社会の実現に向けて、マンションや商業ビルといった大規模施設の新築時の太陽光発電設備に関しても議題に上りやすくなるといえる。

そもそも、政府と東京都が戸建て住宅において太陽光発電設備の設置義務を検討し始めた背景には、グローバルですすむ省エネや再生可能エネルギーの普及の要請があった。

大規模施設には「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(以下省エネ法)による規制もあり、省エネや再生可能エネルギーの活用を積極的に行うよう規制を受けているという背景がある。

省エネ法も一定規模以上の施設や建築物が対象となるため、それらに該当しない戸建て住居ではない商業施設やマンション、アパートへの太陽光発電設備の普及を目的とした規制が制定される可能性もある。


# 太陽光発電設備流通量増大による価格競争


仮に、太陽光発電設備の設置が新築戸建て住宅で義務化された場合、太陽光発電設備に関する影響はどのようなものがあるだろうか。

今現在、太陽光発電設備を設置する一般家庭は限られていて、家庭向けの太陽光発電設備も種類は出ているが、そこまで安価ではないものばかりといえる。

新築戸建て住宅への太陽光発電設備設置が義務化された場合、さらなる補助金などが開始される可能性もあるが、安価なものを求める傾向が強まるといえる。

設置の義務化により、市場が活性化しよりよい太陽光発電設備が出てくる可能性も期待できるかもしれない。


# まとめ

東京都の太陽光発電設備の設置義務化検討は、東京都内の新築戸建て住宅を対象としたもので、実際に義務化された場合でも、それに関する直接的な影響は東京都内だけのものでありである。その意味で、新築件数からしても限定的となると考えられる。またそもそも論として今後の条例化もいつになるかは不明瞭であることから足元すぐに変化が訪れるというわけではないということも留意したい。

しかし、現在の情勢を鑑みると将来的な義務化という方向性は避けて通ることはできない可能性が高い。

最後になるが、近年、新築戸建ての購入とは別の流れで、長年指摘されてきた中古住宅市場も確立しつつあるというものも無視できない。新築戸建て偏重をやめ、長期優良住宅などにより中古住宅を積極的に活用して新築だけが売れる住宅市場を変えていこうという動きだ。新築戸建て住宅への太陽光発電設備の設置義務化が、住宅購入を行う人を中古戸建て住宅市場へ流れる動きを加速させるかもしれない。その意味で今回のニュースは新築住宅だけでなく中古住宅も巻き込んだ議論になりうる内容と言える。





参考

https://www.yomiuri.co.jp/pluralphoto/20211005-OYT1I50119/

https://solarjournal.jp/sj-market/42068/



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