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消防における新技術活用


消防におけるデジタルトランスフォーメーション

(公開 2021/02/10)

 1. サマリー

消防に関わる用務においても新たなデジタル技術活用が進みつつある。本稿では現在、日本国における審議会で議論されている内容を簡単に紹介するとともに、海外事例としての中国の事例についても言及する。今後、人口減少期に入る日本を含めた先進国において消防を含めた設備事業においてデジタル技術の活用は最大の重要事項となる。当該領域における方向性を指し示す一歩としてデジタル事業の今を考える。


 2. 目次


 3. コンテンツ

# 今流行のDXについて

2021年のコロナ禍を機にデジタル技術のさらなる活用としてDX(デジタルトランスフォーメーション)が大きな話題となっている。経産省の示すDXの定義によるとDXとは「これまでの、文書や手続きの単なる電子化から脱却。IT・デジタルの徹底活用で、手続きを圧倒的に簡単・便利にし国民と行政、双方の生産性を抜本的に向上します。また、データを活用し、よりニーズに最適化した政策を実現。仕事のやり方も、政策のあり方も、変革していきます。」とのこと(参照ページから引用)。正直デジタル化と何が違うのかはいまだにわからないが、重要なのは「Web2.0」や「スマート〇〇」等、数多のバズワードに惑わされず、地道に生産性を向上するとともに、事業利益に対して費用対効果を考えた上で、使える技術やサービスを捉えるという姿勢だと考えられる。その意味で、物理的な設備である以上各種設備導入はやすやすとは進むはずもなく、設備業界におけるデジタル技術普及は他業界と比べても決して早いとは言えない。しかしながら、一歩一歩の積み重ねがまずは重要ということであろう。


# デジタル事業は消防設備にどのような影響を与えているか

当然ながら人口減の状況では、建設業界を中心とした労働集約的な業界においてもデジタル技術の活用は重要事項の一つなっている。こと、消防設備等を中心とした設備管理業務においては言わずもがなである。しかしその一方で、キラーコンテンツとなるべき具体的な方向性はいまだ定まっていないのではないか。今回、その方向性を探るべく国家審議会における消防へのデジタル技術活用の検討はどうなっているかを見てみたい。


詳細は以下資料「新技術活用による予防行政の高度化・効率化について ~ 消防用設備等における新技術の活用のあり方 ~」を参考にしてほしい。本付属資料によると、国も当然ながらAI,IoTといった新たな技術の活用を視野に入れ始めている。個人的に特に着目したいのは、効率化の部分である。

火災調査の業務効率化

当該資料を参照すればわかるが、IT技術を活用した業務効率化に強い関心がもたれていることがわかる。

業務効率化の対象業務

これをみるに火災発生からの業務効率化に重きが置かれているが、センサリング含めて感知設備の高度化、IT化が進む中で、消防設備管理や建築設備管理にその影響が行きつくことには疑いの余地がない。おそらく、今後のポイントになるのは規制水準ではなかろうか。

今後活用が期待できるICT機器等

こと、この部分の議論状況を鑑みるに、いまだ議論の焦点が明確ではなく、総花的な印象を受けるが、ここの具体化こそが今後の重要な方向性となるのではなかろうか。その意味でもこの論点に強い関心をもって取り組んでいくことが肝要である。


# 中国における事例

最後に、ことドローン等の技術に関してDJIのようなメーカーを擁し、一歩進みつつある中国の事例を紹介したい。中国では、以下のような事例が既に進んでいるとのことである。「中国では消防用設備をIoTで遠隔メンテナンス、政府・自治体も支援」(参考ページ参照)。


遠隔メンテナンスは分かりやすい事例である。今後、人口が急激に減少していく中で、消防設備士の高齢化も含めて大きな問題となる本業界において当該領域を含めた関心は重要事項となり得よう。我々もそのことを頭の片隅に置きながら次の方向性を検討していく必要があるのではないか。



参考:



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