消防法令「違反対象物の公表制度」


違反

 (公開 2022/08/06)


 1. サマリー

消防法令の「違反対象物の公表制度」は、消防法令に違反する建物等を公表する制度である。消防の立入検査の際に該当する法令違反があると公表の対象となる。消防職員による立入検査で違反が見つかり、違反内容が関係者に通知された後、市町村や所轄消防のHP等で公表される。近年の違反事例としては、特に増改築によるものが多い。公表された内容は、法令違反が是正されることで取り消される。


 2. 目次

# はじめに

# 消防法令「違反対象物の公表制度」とは

# 対象となる建物

# 対象となる消防設備

# 公表までの流れ

# まとめ


 3. コンテンツ

# はじめに

みなさんは、 消防法令の「違反対象物の公表制度」(以下、公表制度という)についてご存知だろうか。さいたま市では平成27年4月1日から開始されている比較的新しい制度である。今回はこの公表制度の解説、および違反にならないために注意すべき点について記載する。


# 消防法令「違反対象物の公表制度」とは

この公表制度は、消防庁HPによると「建物の利用者方が自ら火災危険性に関する情報を入手し、安心して建物を利用することができるよう、消防署等が保有する建物の火災危険性に関する情報(重大な消防法令違反)をホームページで公表するもの」とされている。(記事末の参考 消防庁HPより引用)この制度は、平成24年の広島県のホテル火災(死者7人)や平成25年に発生した長崎県の認知症高齢者グループホーム火災(死者5人)などといった消防法違反による火災に対応するために新設された。

公表される内容や公表の開始時期等は、地域ごとに少々異なる。今回はさいたま市を例に挙げて紹介する。


# 対象となる建物

まず、公表となる建物等について解説しよう。さいたま市HPによると、飲食店・百貨店などの不特定多数の人が利用する建物や、病院・福祉施設などの自力で避難することが難しい人が利用する防火対象物が対象とされている。下記のリンクに詳しい内容が載っているので、一度確認しておくと良いだろう。

◯公表の対象となる防火対象物の用途一覧

https://www.city.saitama.jp/001/011/014/010/007/p035176_d/fil/beppyo1.pdf


# 対象となる消防設備

次に、どのような法令違反が公表の対象となるかを解説する。さいたま市HPによると、「建物に消防法で義務付けられた以下の消防用設備が設置されていない重大な消防法令違反」(ページ末、参考 さいたま市HPより引用)とされている。ここでいう「以下の消防用設備」とは屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、自動火災報知設備の3つである。つまり、これらの設備を設置することが義務付けられている建物等において、正しく設置されていない場合に消防法令違反となり、その違反内容が公表されることになっている。これらの設備が設置されている建物の場合は、正しく設置されているかを一度確認しておくと良いだろう。ちなみに各設備は別の記事でも紹介している。ぜひ参考にしてほしい。


〇屋内消火栓設備(パッケージ型消火設備)

〇スプリンクラー設備

〇自動火災報知設備


また消防庁HPによると、公表となる消防法令違反の多くが無届の増設や用途の変更、建物等の接続などの、既存の建物を改装・増築した場合であるとされている。消防設備を設置義務があるかどうかは建物の用途と大きさによって決まる。よって、増改築の前は消防法令の対象外とされていた建物でも、増築等を行った際に消防設備の設置義務がある建物になってしまうことがあるのだ。実際の工事の現場でも、比較的簡単な改修を行っただけで増築と見做されてしまい、無届けとして消防設備の設置義務違反となっているケースは珍しくない。工事や修繕の際は法令違反に当たらないかどうかを事前に所轄の消防署や消防設備業者に確認するようにすると良いだろう。


# 公表までの流れ

最後に、違反が公表される流れともし公表されてしまった時の対応方法を確認しておこう。

この制度では、①消防職員による立入検査等において重大な消防法令違反が見つかり、②関係者に通知された後、③14日を経過しても違反が継続している場合に公表される。

消防職員による立入検査は抜き打ちで行われることもあるため注意が必要である。もし公表されてしまったとしても、違反の内容が是正された場合は取り消される。違反の通知が来た場合は放置せず、工事業者や消防設備業者に依頼しよう。


# まとめ

消防法令の「違反対象物の公表制度」は、消防法令に違反する建物等を公表する制度である。消防の立入検査の際に法令違反があると、市町村や所轄消防のHP等で公表されてしまう。特に、建物の増築や改築によって法令違反となる場合が多い。たとえ建築や工事の専門業者であっても、消防設備については詳しくない場合は多い。増改築後に法令違反とならないように、工事を始める前に消防設備の専門業者に確認することをおすすめする。また、もし違反が公表された場合でも違反が是正されれば公表されている内容は削除される。違反が通知された場合はすぐに消防設備業者等に依頼し、是正するようにしよう。


参考

消防庁HP(下記HPより、各地域においての詳しい制度の内容をみることができる)

https://www.fdma.go.jp/relocation/publication/

https://www.city.saitama.jp/001/011/014/010/007/p035176.html

さいたま市HP 違反公表制度のチラシ

https://www.city.saitama.jp/001/011/014/010/007/p035176_d/fil/chirashi.pdf


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