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【案内】旧規格の消火器は2021年12月31日までに交換必須


旧規格の消火器は2021年12月31日までに交換必須

【画像:日本消化器工業会】

(公開 2021/09/23)

 1. サマリー

2011年、消火器の規格に関する省令が改正されたことに伴う消火器の交換期限が2021年12月31日までとなる。2022年度からは新規格の消火器のみが使用を認められるため、消防による立入検査時も今後は重点的に見られるチェックポイントとなることが予想される。まだ交換していない建物は交換に向けて動き出すべきであろう。


 2. 目次


 3. コンテンツ

# 旧規格消火器は2022年から設置不可に

消防に携わる人間でもない限り、いきなり消火器の旧規格新規格と言われてピンとくる人はいないであろう。実は、消火器に限らず、消防設備は安全性を高めるために時々規格の更新が行われている。もちろんメーカーによって、自社製品のマイナーな変更点等は多く存在するのであるが、ここで言う規格の更新とは、業務用として認められる消防設備の要件、つまり、行政が消防設備として使用を認めるに足る最低限の性能のことである。すなわち、この規格に適合しない製品は現役でまだまだ使用できる製品であっても法的に認められないということになる。本コンテンツで指す旧規格消火器の使用不可期限とは、まさにその規格の変更が消火器にもたらされ、古い規格の使用期限が2021年12月31日までとなっている、という話である。


消防設備は人命に関わる装置であることから、消防法にはじまりその規格や設置ルール、点検のルールなどが厳格に定められている。今回の消火器の規格更新にしても、消火器に関するそのルールのひとつ「消火器の技術上の規格を定める省令」が2010年12月22日に改正(2011年1月1日施行)されたことからくるものである。古い規格の消防設備がその後使用できなくなることを専門的には型式失効というが、前述のとおり型式失効された消火器はいかにきれいで保存状態が良くても法的には認められず、当然消防設備点検や防火対象物点検でも不適事項として挙げられることとなる。もし交換がまだ済んでいない建物はそろそろ交換のタイミングを見つけるべきであろう。


# 旧規格と新規格の違い

そもそも、今回の規格更新は古くなった消火器を放置して破裂するケースが度々見られたことに起因する。 


さて、そうは言っても自身が関係する建物に備わっている消火器が旧規格なのか新規格なのか、判断できる人はそうそういない。誠実な消防設備点検業者と契約している建物であれば、半年に一度の点検とその際に業者から渡される報告書である「点検結果報告書」の消火器の項目を見ればよい。旧規格の消火器を現在も使用し続けているのであれば、間もなく交換が必要である旨の記述があるはずである。


小規模の建物で消火器の管理を建物所有者が直接行っている場合等で直接消火器を目で見て確認したいというのであれば、以下の画像を目安にすると良いであろう。


【左:旧規格消火器 右:新規格消火器】


細かな違いはいくつかあるが、一番わかりやすいのは、「白・黄・青」3色の丸の中身である。旧規格の消火器にはそれぞれ丸の中に「普通・油・電気」と記述されているのに対し、新規格ではそれぞれを表す絵となっている。この3色はそれぞれ性質の違った火災性状に対して効果を発揮する旨を示すために設けられた印であり、普通火災をA火災、油火災をB火災、電気火災をC火災というので、その3種に対応できる消火器としてABC消火器と言ったりもする。あなたが目にする消火器の3色の丸の中に絵(普通火災、油火災、電気火災それぞれの絵)が描かれていれば、ひとまずは安心である。なお、この規格についてはあくまで「業務用」の消火器であり、「家庭用」の消火器には該当しない話である。消火器の業務用と家庭用の違いについては別コンテンツ「消火器概要」を参照していただきたい。また、前述した「消火器の技術上の規格を定める省令」の施行は10年前の話であり、消火器の交換推奨期間は10年ごとであるため、新規格でも2010年製のものは交換が必要なので、単に丸の中に絵が描かれているからと言って何もしないで良いわけではない点には注意していただきたい。


# 消火器を交換するには

もし、消火器を交換する必要がある場合、その方法は大きく分けて2つである。1つは自分で、もう1つは業者に頼む方法である。


意外にも思われるかもしれないが、消火器の交換は特別な資格は必要としないので自力で行ってしまっても構わない。業務用として認められる消火器はホームセンターならばほとんどの場所に置いてあるし、Amazonを始めとする各種通販サイトでも購入できる。古い消火器を壁掛けにしていたり、専用台に置いている場合は少々加工が必要になるかもしれないが、基本的には買って置くだけで終了である。別にそれを管轄消防署に届け出る必要もない。ただ、面倒になるのは古い消火器の廃棄であろう。消火器は不燃ゴミとして出しても回収されることはなく、自分で所定の場所に赴きリサイクル料金を払って廃棄する必要がある。リサイクル料金は自治体によっても異なるが、一番小さなもので1本1,000円弱からといったところである。面倒だが難しくはないので挑戦してみてもいいだろう。


しかし、建物の規模が少し大きくなると消火器の本数も増えるので自分でするのは骨が折れる。とくにそのような建物は消防設備点検の業者に頼んでしまうのが良いだろう。通常の消防設備点検と合わせて設置を依頼することだってできる。実際のところ消火器の回収費用はそれほど高くはないので、点検に合わせて新しい消火器を設置してもらい、古い消火器を持って帰ってもらうのが一番費用対効果がいいだろう。業者にとっても管理が楽になるので受発注双方にとって助かる方法だ。


# 最後に

このコンテンツを執筆している2021年9月から見れば、旧規格の消火器が適法とされるのは残すところあと3ヶ月ほどである。以降は消防法的に旧規格消火器が設置してあるだけで各種点検が一発アウトになる。とくに、消火器は人目につきやすく、旧規格と新規格の見分け方を知っていれば判別するのは至極容易であることに加え、2022年からは消防署としてもホットな話題となることから、消防の立入検査等でも指摘を受けやすいポイントとなるであろう。


旧規格の消火器を設置している建物は当方消防設備業者側から見てもまだまだ多く存在している。とくに雨風の当たる保管状態の悪い場所に設置してあるものは破裂等の危険性を孕むため、万が一建物利用者に怪我などをさせてしまうことを考えると、早期の交換を実施すべきであろう。


関連:

コンテンツ「消火器概要」



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