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消防設備士とは

更新日:2021年2月5日


(公開 2021/01/23)

 1. サマリー

消防設備士とは、消防設備の点検、整備及び工事を行うことができる国家資格である。資格は消防設備の種類によって8種類に分かれており、甲乙の2種別によって、消防設備の工事が可能か否かが変わる。消防設備の点検整備及び報告は、資格を取得し正しく行えるのであれば、管理者自身で行うことも可能。しかし、それには工具や作業経験が必要なことから、現実的には専門業者に依頼するのが無難である。


 2. 目次


 3. コンテンツ

# 消防設備士とは

消防設備士とは、消防用設備などの点検、整備及び工事を行うことができる国家資格である。消防用設備とは、消火器や自動火災報知設備、救助袋などのことを言い、火災や危険物の流出等の危険が建物に及んだ際、被害の拡大を食い止めるための設備である(コンテンツ「消防用設備とは」参照)。消防設備士の資格は、消防設備士資格試験に合格すると取得でき、上記設備のほか、防火水槽や連結送水管といった、消防隊が使用する設備の点検、工事を行うことができるようになる。


消防設備士の根拠法令は消防法である。消防法第17条では「消防用設備等の設置維持」について記されており、第17条3の3において、「消防用設備等又は特殊消防用設備等(中略)について、(中略)消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、」と明文化されている。なお、「総務省令で定める資格を有する者」とは、消防設備点検資格者という別の資格のことを指し、消防設備士とは似て非なる存在である。この資格については後述する。


# 資格の類別

消防設備士の資格は、対応する消防設備の種類に合わせて8種類に分かれており、それぞれに「甲種」と「乙種」の2種類がある(特類は甲種のみ、第6、7類は乙種のみ)。乙種の資格試験には受験資格が設けられていないため、誰でも受験可能であるが、甲種には学歴や実務経験等の受験資格が定められている。


資格としての甲乙の違いは、乙種が該当する設備の点検と工事ができるのみであるのに対し、甲種ではそれに加えて工事ができるようになる。もちろん資格の取得難易度も変わってくるが、甲種は乙種の完全上位互換であるため、可能であれば乙種より甲種を取得したほうが活動の幅は広がる。なお、各類別に相当する消防設備の種類は以下のとおり。

  • 特類 特殊消防用設備等(甲種のみ)

  • 第1類 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備、共同住宅用スプリンクラー設備

  • 第2類 泡消火設備、パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備

  • 第3類 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備パッケージ型消火設備、パッケージ型自動消火設備

  • 第4類 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、共同住宅用自動火災報知設備、住戸用自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、複合型居住施設用自動火災報知設備

  • 第5類 金属製避難はしご、救助袋、緩降機

  • 第6類 消火器(乙種のみ)

  • 第7類 漏電火災警報器(乙種のみ)

なお、受験料は乙種が3,800円、甲種が5,700円となっている。

(※受験料は2021年1月20日時点での金額)


# 消防設備士ではなく、消防設備点検資格者を取得した方がよい人

 先述した消防設備点検資格者も消防設備の点検を行うことのできる資格である。この資格は第1種、第2種及び特類の3種類に分かれており、3種類で消防設備士の特〜7類までをカバーする内容となっている。資格の取得は主に講習の受講によってなされ(講習の最後に修了考査はある)、講習期間は3種類とも3日間である。このように聞くと、消防設備士よりも優れているような気がするが、現実的な存在意義は微妙な感が否めない。その理由として、点検整備のみ可能で工事はできない、甲種消防設備士並の受講資格が必要、受講料が各32,300円(2021年1月20日時点での金額)と高額であることの3点が挙げられる。建物の所有や維持管理を生業にし、自分の時間を使ってでも維持管理コストを少しでも安くしたいという方であれば、通常の点検では同資格で事足りるので講習の受講を検討するのも一つの手かもしれない。とは言え、点検整備には複数の工具と作業経験が必要になることに加え、点検に不備があったせいで有事の際に被害を出したとなると責任を問われるのは点検した者になるので、結局の所は専門業者に任せるのが無難な選択であろう。


参照:

一般財団法人消防試験研究センター

一般財団法人日本消防設備安全センター


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「消防用設備とは」

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