パッケージ型自動消火設備とは


パッケージ型自動消火設備とは

(公開 2021/08/31)

 1. サマリー

パッケージ型自動消火設備とは、スプリンクラー設備の代替設備として使用できる消防設備である。スプリンクラーを設置するよりかは簡単ではあるものの、パッケージ型自動消火設備を設置するには、大きな工事が必要になることから、設置する際には設置要件を予め正しく把握するだけでなく、その後の点検費用等も含め検討する必要がある。


 2. 目次

# パッケージ型自動消火設備とは

# パッケージ型自動消火設備を設置するには

# さいごに


 3. コンテンツ

# パッケージ型自動消火設備とは

パッケージ型自動消火設備とは、スプリンクラー設備の代替消火設備である。別コンテンツ「パッケージ型消火設備とは」でも述べたが、パッケージ型とは本来必要となる消防設備の部品を一つの格納箱にまとめたもので、本来大掛かりになる消防設備の設置工事を簡易的に行うことができる消防設備である。


今回取り扱うのは、パッケージ型「自動」消火設備であり、パッケージ型消火設備とは紛らわしいがまったくの別物である。それは、パッケージ型消火設備は屋内消火栓の代替設備として使用されるものであり、パッケージ型「自動」消火設備はスプリンクラー設備の代替として用いられるためである。

パッケージ型自動消火設備全体図

【画像:株式会社 初田製作所】


さて、「パッケージ型とは本来必要となる消防設備の部品を一つの格納箱にまとめたもの」と述べたが、パッケージ型自動消火設備については少々事情が異なる。本設備については、格納箱にすべてを詰め込むというわけにはいかない。おわかりのとおり、スプリンクラーの代替として機能する以上、天井等から消火剤を噴霧する必要があり、その配管や感知器類のセンサーは別途設置しなければならないからである。そのため、既存建物に本設備を設置する場合は、天井を剥がしたりする大工事になる。とは言え、本来のスプリンクラーを設置するのに必要な水源や、ポンプ等を設置しなくてよいのはやはり大きい。建物の規模にもよるが、本来のスプリンクラーを後付する工事と比較すれば、その費用は全く異なってくる。そういった意味で、パッケージ型消火設備と同じく、既存建物の増改築や用途変更に伴う設置消防設備の増加に対応するためには、有用な消防設備であると言える。しかし、本設備もパッケージ型消火設備と同じく、設置するためには建物に一定の要件を満たす必要がある。



# パッケージ型自動消火設備を設置するには

まず、パッケージ型自動消火設備の設置要件等については、平成16年消防庁告示第13号「パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める告示」に規定されている。当該規定より設置要件を抜粋すると以下のとおりとなる。


【設置できる建物】

下記①、②いずれかの用途で利用されるもののうち、延べ面積が10,000㎡以下の建物。


① 消防法施行令別表第一の5項:

旅館、ホテル、共同住宅(マンション、アパート等)などの人が寝泊まりする建物

② 消防法施行令別表第一の6項:

病院、診療所、特別養護老人ホーム、デイサービスセンター、障害児入所施設、幼稚園などの、自力避難が難しい方が多く利用する施設

③ 消防法施行令別表第一の16項のうち、上記①、②の用途を含むもの


当該建物で、スプリンクラーを設置しなければならない場所においてはパッケージ型自動火災消火設備の代替設置が可能であるが、そもそも、多くの建物において、スプリンクラー設備を設置しなければならないとされるには、延べ面積が6,000㎡くらいからとなるので、それほど大きな建物でなければスプリンクラー設備自体が必要ないとされる場合が多い。しかし、延べ面積が小さくても、上記①、②の用途にあって、地階や11階建て以上となると、消防法としては扱いが厳格化されるので注意が必要である。また、②の中でも特別養護老人ホームや障害児入所施等にあっては、延べ面積に関係なくスプリンクラー設備を設置する必要があるため、もし用途変更で建物を当該施設として利用するのであれば、パッケージ型自動消火設備の設置を視野に入れることになるであろう。


【設置できるパッケージ型自動消火設備の種類】

パッケージ型自動消火設備はその消火性能に合わせて、I 型とII 型の2種類に分けられる。


① I 型:

延べ面積10,000㎡以下

② II 型:

延べ面積275㎡以下(易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められるものを除く)


② II 型にあっては、「易燃性の可燃物が存し消火が困難と認められるものを除く」という条件が付記されているのでその点には注意する必要がある。この、「易燃性の可燃物」とは何かについては、別に消防予第 48号平成28年2月23日消防庁予防課長通知「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に 関する省令第1条第2項の規定に基づくパッケージ型消火設備 の設置及び維持に関する技術上の基準の一部を改正する件等の 運用上の留意事項について」に記述があり、それは次の2点に該当するものが対象となる。


(ア) 座面(正面幅が概ね800mm以上あるもの)及び背面からなるもの

(イ) 表面が合成皮革、クッション材が主にポリウレタンで構成されているもの


まとめると、「表面が合成皮革、クッション材が主にポリウレタンで構成されている燃焼速度が速いソファ」が「易燃性の可燃物」である。すなわち、布団やベッドは該当しないことになる。たとえば、II 型を設置しなければならない小規模な社会福祉施設等の場合、単なるベッドを設置するならば問題ないが、幅が広いソファを置く場合はその材質に気をつけなければならないだろう。


# さいごに

パッケージ型消火設備と違い、パッケージ型「自動」消火設備は、その構造上、装置を置いて終わり、というわけにはいかない。必然的に工事費用は高くなることから、確実に設置要件等を把握した上で、設置する必要があるだろう。また、パッケージ型自動消火設備の感知器は熱感知器と煙感知器の2種類が以上を検知することにより作動するものがほとんどであるため、消火薬剤を放出するスプリンクラーヘッド以外にも、当該2種類の感知器を天井に設置する必要がある。すなわち、多くの穴を天井に開けることになるため、その分工事費用は高くなり、また、設置後の天井は感知器だらけ、ということになる。それでも本当のスプリンクラー設備を設置するよりかは楽であるが、半年に一度の消防設備点検時には、そのような設備の事情に明るく、必要な作業工程を踏まえてきちんとした点検スケジュールを出すことのできる消防設備業者に点検を依頼する必要があるだろう。



参考:

平成16年消防庁告示第13号「パッケージ型自動消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準を定める告示」

https://www.fdma.go.jp/laws/kokuji/assets/h16_kokuji13.pdf

消防予第 48号平成28年2月23日消防庁予防課長通知「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に 関する省令第1条第2項の規定に基づくパッケージ型消火設備 の設置及び維持に関する技術上の基準の一部を改正する件等の 運用上の留意事項について」

https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/assets/280223_yo48.pdf



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