消防用設備とは


(公開 2021/01/21)

 1. サマリー

消防用設備とは、火災やガスの流出等、人や建物に危険が及んだ際に活躍する設備である。消防用設備は点検やその結果報告の義務があり、違反者には罰則規定も存在する。いざという時に自分の身を守る武器となるため、設置してある場所と使い方は一度確認しておくことをすすめる。


 2. 目次

# 消防用設備とは

# 消防設備の種類

# 消防設備の点検・報告

# 一度は場所と使い方の確認をするべき


 3. コンテンツ

# 消防用設備とは

上の画像の物体を見たことある人は多いだろう。そして、「緊急事態にボタン押せば良い」という認識でいる人がほとんどだと思われる。これは自動火災報知設備と言って、消防用設備の一種である。消防用設備はこのほかに、誰しもが知っている消火器も含まれる。消防用設備は、火災が発生した際に、自動もしくは手動によって火災の被害を食い止める機能を持つ。


消防用設備は正式には「消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設」という。先に述べた消火器や自動火災報知設備は「消防の用に供する設備」であり、「消防用水及び消火活動上必要な施設」とは別である。「消防の用に供する設備」は火災発生時に、警報を鳴らし、衆人の避難や初期消火を行うための設備であり、「消防用水及び消火活動上必要な施設」は、消防隊が消火活動に使用する設備と理解しておけば間違いはない。いずれも火災発生時に活躍するものであるが、法律上は別物であるため、建物の維持管理を担う人は注意が必要である。また、似て非なるものとして防火戸がある。防火戸は火災の際に扉が閉じて炎や煙が建物の横に広がるのを防ぐ効果があるが、これは建築基準法から要請される「防火設備」に該当するものであり、消防用設備とは別のカテゴリーに属する。本稿では一般の方が使用する機会の多い「消防の用に供する設備(以下、消防設備)」について述べる。


消防設備は建物の規模や用途によって必要な種類や個数が個別に判定されるため、一概に設置条件を述べるのは難しい。ただ、大雑把に言えば、火災があった時に被害が大きくなると考えられる建物であればあるほど、厳しい設置義務が課される。たとえば、不特定多数の人が入るショッピングセンターや、自力避難が困難な人がいる病院や老人ホームといった建物は、マンションよりも多くの消防設備を設置する必要がある。


# 消防設備の種類

消防設備は以下のおおまかに3つの種類に分けられる。写真を見れば、一度はどこかで見たことのある設備ばかりではないだろうか。


①消火設備

消火設備は、火災が発生したときに水や消火剤を用いて初期消火を図る機械器具や設備のことである。主に火災の初期消火に使用される。

 消火器、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備、不活性ガス消火設備、泡消火設備など


消火器

消火器


屋内消火栓

屋内消火栓


②警報設備

警報設備は、火災やガスの流出などが起きたことを感知し、警報と通報を発する設備である。警報設備は、衆人や消防機関にそのことを知らせる役割を担う。

 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報器、漏電火災警報器、非常ベルなど


自動火災報知設備

自動火災報知設備


非常ベル

非常ベル(中央)


③避難設備

避難設備は、火災などが発生したときに衆人を建物の外へ避難させるために使われる機械器具や設備である。

 避難はしご、救助袋、誘導灯など


避難はしご

避難はしご


誘導灯

誘導灯


# 消防設備の点検・報告

消防設備は点検と管轄の消防署への点検報告が必要である。これについては消防法の第17条に規定されており、違反には罰則規定がある。消防設備の点検不備は防火管理義務違反と見なされ、最悪のケースだと建物の所有者や防火管理者は逮捕されることにもなりうる。なお、防火管理者が設置されない小規模の建物であっても、建物の所有者等による点検報告の義務からは逃れられない。防火管理者がいる建物であれば、防火管理者は消防計画の中に、消防設備についての点検計画を盛り込むとともに、その管理責任を負うこととなる。


上に上げた消防設備を点検するのは、一般的には消防設備士か消防設備点検資格者の資格を有しているものとなる。一般的というのは、一定の条件に当てはまらなければ、資格のない者が点検を行っても違法ではない。一定の条件とは以下のとおりである。


①延べ面積1,000㎡以上の建物


②屋内階段が1つだけしかない建物で、地下もしくは3階以上の階に不特定多数の者が出入りするテナントがある


これら以外の建物の管理者は、可能であれば自分で点検しても法律上は問題ない。そうは言っても実際には点検には特殊な器具や工具、経験が必要になることが多く、消防設備点検を生業とする業者に依頼するのが普通である。コストカットするために自力で行おうとする人は、消火器の目視点検程度なら自分でも行えるので、やってみてもいいだろう。なお、無資格者でも行えるのは点検のみであり、工事することはできない点には注意されたい。


点検は6カ月に1回の機器点検と1年に1回の総合点検に分かれる。機器点検とは、外観又は簡易な操作による確認をする点検であり、総合点検とは実際に消防設備を作動させ、総合的な機能を確認する点検のことである。


点検結果の報告期間は建物によって異なるが、簡潔に述べるのであれば、不特定多数の者が出入りする建物は1年に1回、そうでなければ3年に1回である。


# 一度は場所と使い方の確認をするべき

今回は、私たちの身近にあるものの、普段は意識しないであろう消防設備について取り上げた。いつもは視界に入っても何も気にせず、その機能について深く考える人は稀であろうが、いざという時にはあなたやあなたの大切な人を守る道具となるため、自分の家や勤務先において、何がどのあたりに置いてあるのか、そしてどのように使えばよいかくらいは、一度確認しておくことをおすすめする。


そして、消防設備は設置して終わりではない。どのような機械も整備もせずに放置すれば必ず劣化、故障する確率が高まり、いざ火災や地震で避難しなければならない時に使えなければ意味がない。消防設備を適切に維持管理するのは、建物の所有者や防火管理者の終わることのない責務である。



参考文献:建築消防実務研究会 (編集)「建築消防advice 2020」新日本法規



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