top of page

電気主任技術者業務だけではない?ビルメンテナンス業務における電気主任技術者業務の優位性


ビルメンテナンス
ビルメンテナンス

(公開 2022/11/14)


 1. サマリー

高圧受電設備の保守点検に関する資格として、関係省庁に届け出を行う際にも必要な電気主任技術者だが、業務内容が多岐にわたるビルメンテナンス業の中では、一部分の業務を担っているものに過ぎない。


しかし、電気主任技術者として他のビルメンテナンス業務にあたることで、資格を生かした優位性を示すことが可能であるともいえる。また、ビルメンテナンス業務を行うにあたって管理者として活躍するために必要不可欠な資格ともいえる。


ビルメンテナンス業務の全体的に俯瞰する際に必要となる電気主任技術者について考える。


 2. 目次

 3. コンテンツ

# 給排水設備や空調設備は受電設備の負荷設備にあたる

高圧受電設備から受電した電気がビル内の様々なところに供給される。給排水設備や空調設備、オフィスで稼働するコンピュータも高圧受電設備で受電した電気で動くことになる。その場合、電気主任技術者業務の一環として、負荷設備の把握というものがある。

ビル内の設備のどのような負荷に電力を供給しているのかを確認し、事故時の切り離しの優先順位や長期停電が発生した場合の非常用発電機での供給先の検討などを行う必要があるためだ。


負荷設備でもある給排水設備や空調設備は、電気主任技術者業務とは別に一定規模以上のビルになると省エネルギー法による省エネ規制の対象となる。その際に、エネルギー管理士などの資格を持った有資格者が、ビル内設備の省エネ監視や設備の省エネ改善提案などを行う必要がある。 エネルギー管理士には、熱分野と電気分野の資格があり、熱分野は給排水設備の熱供給の関連設備を対象とするのに対して、電気分野では電気に関する省エネ施策の検討が義務付けられている。 電気主任技術者の中には、ビルメンテナンス業務を行っていて、エネルギー管理士の電気分野の責任者も兼任している人もいる。


# データセンターなどの特殊ビルでは、UPSや空調設備は重要設備

近年、クラウドサーバ―を構内に所有する大規模データセンターが各地に新設されてきている。データセンターのビルメンテナンス業務を行うような場合、サーバールームの温度や湿度を年間通して一定に保つ空調設備の重要度は他のビルとは比較にならないぐらい重要なものとなる。サーバールーム内の温度や湿度は、空調設備が停止すると、サーバー自体の放出熱で室内温度が上昇していくことになる。熱が原因でサーバーが故障することもあり、クラウドサービス等に影響が出てしまう恐れがある。


また、停電が発生しても蓄電池設備からの給電に瞬断することなく切り替わるUPS(無停電電源装置)も多く設置されている。データセンターで停電が発生しても、他地域では停電がしていない場合が多いため、そういった地域からも停電時でも問題なくアクセスできる環境が必要となる。UPS蓄電池設備の保守点検も重要な業務となる。


また、データセンターでの停電が長引いた際に非常用発電機が稼働できるシステムが必須であることが多い。この場合、一定規模以上の非常用発電機は電気主任技術者の管理が必要であり、業務に電気主任技術者資格が必要となる。


データセンターでのビルメンテナンス業務は、電気主任技術者業務の経験の他に、空調設備やUPS設備の保守点検が入ることが多い。


実際にデータセンターのビルメンテナンスの求人では、電気主任技術者業務と合わせて空調、UPSなどの経験を要求されている。


# 太陽光発電所などの再生可能エネルギー関連では効率向上やコスト削減の提案も

データセンター同様に急速に数を増やしている太陽光発電所については、その発電規模によっては、難易度の高い第二種電気主任技術者を必要とするところも出てきている。電気主任技術者業務だけであれば、監視と定期保守、故障時の対応など、通常のビルメンテナンス業務と特段変わることはない。


しかし、太陽光発電所の電気主任技術者は発電所建設時からかかわることが多く、電力会社との折衝など電気の知識を生かした活躍をすることが多い。


また、運用時も問題なく発電できていれば、発電所のオーナーが満足するかというとそうでもなく、常に発電効率の向上やコスト削減策の提案を行う必要がある。電力会社の発電所とは異なり、民間発電所でもある太陽光発電所では、運用コストを最小化し、発電量を増大させることで収益を上げることができるようになる。


現在は売電単価が決められているが、今後、電気主任技術者が電力会社との売電単価の交渉などを行う場合もあると言える。


また、FIT制度の終了に伴い、中古発電所の売買が増えてくるのではないかと考えられる。こうした場合も専門家として、発電所の査定などを行う電気主任技術者も出てくるかもしれない。


# まとめ

電気主任技術者の資格自体は、法的に必要な場合は限られている。しかし、その知識を生かして様々な業務にあたることができる可能性を持っている。特にビルメンテナンス業界で上位の管理職クラスとなる場合、電気主任技術者の資格取得は最低条件であることも多い。


電気主任技術者だけでなく、エネルギー管理士やボイラー技士などの資格も取得することが必要となる。ビルメンテナンス業務は非常に幅広い専門知識が必要であり、データセンターや再生可能エネルギー発電所などの近年急増した設備に対しても、知識習得を行えば従来のビルメンテナンス業務の応用で十分対応が可能と言える。


電気主任技術者資格はその最も基礎的な資格となり、エネルギー管理士などの他の資格へもつなげることができる優位性の高い資格といえるだろう。


関連

コンテンツ「電気主任技術者の業務及びその周辺電気関連業の今後の展望」https://www.groundtools.jp/post/%E9%9B%BB%E6%B0%97%E4%B8%BB%E4%BB%BB%E6%8A%80%E8%A1%93%E8%80%85%E3%81%AE%E6%A5%AD%E5%8B%99%E5%8F%8A%E3%81%B3%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%91%A8%E8%BE%BA%E9%9B%BB%E6%B0%97%E9%96%A2%E9%80%A3%E6%A5%AD%E3%81%AE%E4%BB%8A%E5%BE%8C%E3%81%AE%E5%B1%95%E6%9C%9B

0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page