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第三種電気主任技術者の資格では、どのようなことができるのか




(公開 2022/04/08)

1. サマリー


電気に関する代表的な資格ともいえる電気主任技術者だが、その実態と具体的な職務内容はどのようなものがあるのだろうか?

資格概要と資格試験について解説する。



2. 目次




3. コンテンツ


# 電験三種ともいわれている第三種電気主任技術者の資格


電気主任技術者の資格の中でもっとも有名なものが第三種電気主任技術者の資格だ。この資格は電験三種とも言われ、多くの資格の中でも知名度が高い部類の資格といえる。

第三種電気主任技術者の試験内容は、電気回路や電磁気といった電気の基礎理論を問う「理論」、発電や変電送電の技術的な知識を問う「電力」、電動機や変圧器、自動制御、照明照度、電熱など幅広い電機分野の知識を問う「機械」、電気設備技術基準や電気事業法など電気関連の法律の知識を問う「法規」の4科目がある。

これらの科目すべてに合格基準の6割以上の得点を取らなければ試験をパスすることができない。

出題範囲としては、工業高校電気科の卒業相当と言われているが、電気に関する幅広い知識をまんべんなく取得する必要があり、毎年の合格率は10%程度で、本腰を入れて受験勉強をしなければ合格ができない資格といえる。



# 電気主任技術者の資格で何ができるのか?


電気主任技術者は、電気事業法により該当する電気設備の保安管理の責任者として設置者が任命する必要がある。

第三種電気主任技術者は受電電圧50000V未満の電気設備の保安監督を行うことができる。電圧50000Vと一口に言っても、一般的な高圧受電の電気設備は6600Vだ。それ以上の電気設備となれば大規模工場やビルの電圧170000V受電の設備となるため、保安監督のためには第二種電気主任技術者の資格が必要だ。しかし、そのような大規模施設は国内でも設置場所が限られてくる。

第三種電気主任技術者の資格で保安監督ができる電気設備は国内の80%程度に該当するといわれている。

電気事業法により、保安監督といての任命義務があるため、電気主任技術者資格には高い需要があり、資格の受験者数も多いということになる。



# 強電分野の入門資格である電験三種


電気、特に強電分野の入門資格として人気の高い電験三種だ。工業高校の電気科の履修内容を総合的に出題される資格ということや、実務経験が問われない受験資格などから、電気技術者への入門資格としての需要もある。

しかし、実際に就職や転職などを考えた場合や、電験三種の他資格への免除などを検討する場合は実務経験を問われることが多い。

電験三種を取得した後に、第一種電気工事士の資格を取得する場合、電気主任技術者としての5年以上の実務経験を証明する必要がある。

電験三種は電気に関する入門資格ではあるが、資格があればどのような場合にも対応ができるというわけではなく、その後に電気主任技術者として業務に従事することで初めてその有効性が発揮できる資格であるということができる。



# 電気に関する知識量を測定する知識検定の側面も


法律的には電気設備の保安監督を行うための資格である電験三種であるが、設備設計や製造業における電気設計の担当者としての知識量を測定する知識検定の側面を持ち合わせている特殊な資格でもある。

電験三種は電気設計に関しては法律的な位置づけは全くないにもかかわらず、産業界において電気主任技術者有資格者が一定の評価をされるという特殊事情もある。

この場合、特に保安監督の対象設備がない場合でも第一種、第二種電気主任技術者や他資格の免除条件として資格取得を目指すという人も多い。

第一種電気主任技術者が必要な電気設備は電力会社の発電所レベルしか存在しないが、その受験難易度や必要な知識量から電気設備設計者や電力コンサルタントなどへの需要が大きい。

資格の知名度も高いため、昇進や昇格の要件となる場合も多く、法的な資格という枠を超えた需要があるのが他の資格試験にはない電気主任技術者試験の大きな特徴といえる。



# まとめ


以前は電力会社の意向や価格設定などの諸条件が強かったため、ビルメンテナンスにおける電気主任技術者はその意向に従っていれば問題なく業務が行えていた。

しかし、電力の小売り自由化が進み、安い電気も需要家単位で選べるようになった今、電気のコストと信頼性の確保に向けた能動的な取り組みがビルオーナーなどから電気主任技術者に求められている。

太陽光発電設備に代表されるオンサイト型の発電設備にも電気主任技術者の任命義務があり、今後も活躍の場が増えていくだろう。

そのためには資格取得で課せられる責任と業務内容を理解し、資格取得後も常に最新技術や制度の改正などの知識を習得していることが、電気主任技術者には求められてくる。

電験三種は資格取得が通過点で、その後の実務経験の有無で評価が変わる資格であるということもきちんと理解しておく必要があるだろう。


参考




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